昭和後期:プラスチック袋の普及と多様化(1950年代〜1980年代)
主な素材:LDPE、HDPE、PP、セルロースフィルム、セロファンなどを使用していました。
技術背景:押出成形機によるフィルム製膜、ヒートシール加工、グラビア 印刷の導入、ラミネート技術の実用化されました。
製袋形態:ポリ袋(レジ袋等)溶断シール、三方袋、背貼り合掌袋、スタンドパウチ袋、チャック袋などがありました。
社会背景:1950年から1960年代にかけての高度経済成長期、日本国内では量販店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアの展開が全国的に進み、消費者の購買行動や商品流通のスタイルが大きく変化しました。それに伴い、包装に求められる役割も大きく変わり始めます。
従来は商品の保護や輸送が主な目的だった包装も、この時代からは中身の鮮度を保つ保存性や、湿気・破損から守る耐久性・防湿性といった機能性が求められるようになりました。軽量で加工が容易なプラスチック袋の登場は、こうしたニーズに応える形で急速に市場へ浸透し、日常生活に欠かせない存在となっていきます。
また、セロファン素材から始まった透明フィルムは、ラミネート技術の進化とともに複数素材の組み合わせが可能となり、チャック付き、ガゼット、スタンドパウチなど、多彩な形状と機能を持つ袋の開発へとつながりました。これにより、商品の見せ方や売り方そのものが多様化し、包装は単なる保護材から、「商品の魅力を伝えるツール」へと進化します。
一方で、紙袋は実用用途から離れ、より高級感の演出やブランドイメージの演出を目的とするパッケージとして再定義されるようになりました。印刷技術と組み合わせた紙袋は、百貨店や専門店を中心に、贈答品やブランド商品などの価値を引き立てる役割を担うようになり、機能性重視のプラスチック袋と役割が明確に分化していきました。
平成時代(1989年〜2019年)機能性とデザイン性が高まった時代
平成の時代に入ると、消費者の好みや生活スタイルが多様化し、袋にも「中身をしっかり守る機能性」と「見た目の美しさ」がより強く求められるようになりました。
袋の素材も進化し、空気や湿気を通しにくく、食品などをより長持ちさせることができるバリア性フィルム(例:透明蒸着PET、ナイロン、EVOH)や、多層のフィルムを重ねたラミネート構造が主流となりました。
また、製袋の技術もデジタル化が進み品質の安定化と効率化が図られました。
形の面でも、ジッパー付き袋、再封可能なパウチ、見た目がユニークな異形パウチなど、機能性と使いやすさを兼ね備えた製品が増えました。特に、スーパーやドラッグストアで見かけるプライベートブランド(PB)商品の増加により、少量でも見栄えよく高付加価値なパッケージが重視される時代となりました。