令和時代(2020年〜現在):環境に配慮した「スマートな袋」へ

2020年以降の大きな変化のひとつが、「環境への配慮」です。特に2020年7月のレジ袋有料化をきっかけに、消費者の間でも「エコ包装」への関心が高まり、袋をつくる素材や形も大きく見直されるようになりました。

たとえば、リサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)の袋や、土にかえる堆肥化可能な素材、紙とフィルムを組み合わせた新しいタイプの袋などが登場し、今では多くの企業が環境にやさしい袋づくりを目指しています。

技術面では、生産ライン全体をデータで管理するIoT対応製袋機なども増えており、「スマート工場」化が進んでいます。また、袋の一部にQRコードを印刷して商品の情報を読み取れるようにしたり、切り口にレーザーでミシン目を入れて開けやすくする加工など、消費者にとっての「使いやすさ」や「便利さ」にも配慮されています。

さらに、ネット通販の拡大により、輸送しやすく、かつ見た目にも優れた簡易包装用のパウチなどが多く採用され、袋の進化は続いています。

日本の製袋加工業は単なる『ものを入れる袋』を作るだけでなく、保存、流通、販促、環境の変化に応じて進化してきた産業です。

令和時代における製袋加工業界の課題

一方で、製袋業界が抱える課題も顕在化しています。

1)プラスチックフィルム廃棄の問題

プラスチック製の袋は便利で機能的である一方、その多くがリサイクルされずに焼却処分や埋め立て処分されており、環境負荷の大きさが社会問題となっています。特に多層構造のラミネート袋は素材が複合しているため、分別や再資源化が難しいという課題があります。

2)過剰な品質管理要求とコスト増

消費者や食品メーカーからは、袋のシール強度・気密性・清潔さ・見た目などに対して非常に高い品質水準が求められています。たとえば、ほんのわずかなズレや異物混入が許されない状況にあり、これに対応するために検査体制や生産工程における管理が複雑化・高度化しており、中小製袋業者にとっては大きな負担となっています。

3)コストと環境配慮の両立

環境対応素材(バイオマス、モノマテリアル、堆肥化素材など)は、従来の素材に比べてコストが高く、加工も難しいケースが多く見られます。一部の素材は既存の製袋機では対応できず、新たな設備投資が必要となることもあり、中小企業にはハードルが高くなっています。

4)労働力不足と技能継承

製袋加工は繊細な作業が求められるため、熟練工の技術に依存している部分も多く、高齢化や人手不足の影響で、安定した生産体制を維持することが難しくなりつつあります。また、AIやデジタル化に対応するための人材育成も急務となっています。

このように、令和時代の製袋加工業は、環境対応やスマート化の進展という明るい側面とともに、資源・コスト・人材などのさまざまな課題とも向き合いながら、次の時代への転換期を迎えています。