明治時代以前:和紙の袋文化(〜1868年)
主な素材:和紙、竹、わらの縄やむしろ、経木(きょうぎ)、風呂敷などを使用していました。
技術背景:和紙を折り、糊で貼り合わせる手作業の袋づくり。寸法や仕様 は店舗ごとに異なり、再利用も想定されていました。
利用シーン:薬の粉や丸薬を包む小袋、菓子の販売用簡易包装袋、商品を包む風呂敷や竹かごも併用していました。
社会背景:包装という概念は現代とは異なり、中身の保存というよりか、」あくまで商品を一時的に包むためのもので、再利用性や自然素材が重視されていました。
明治〜大正期:近代製袋業の始まり(1868年〜1926年)
主な素材:クラフト紙、洋紙(木材パルプ)、ボール紙などを使用していました。
技術背景:欧米から輸入された製袋機(角底袋を作る機械)により、従来の手作業での紙袋の製造から角底紙袋やツイストハンドル付き紙袋の機械生産へ移行し、また印刷技術との融合も進みました。
製袋形態:印刷紙袋、取手付き袋、広告用袋、簡易包装袋などがありました。
社会背景:文明開化に伴い都市部では百貨店、洋品店、菓子店が拡大。顧客へのサービス・ブランド認知のために印刷袋が広く使われ、包装が「広告媒体」としての役割を持ち始めました。
昭和前期:紙袋製袋業の成長(1926年〜1945年)
主な素材:国産クラフト紙、晒クラフト紙、油紙などを使用していました。
技術背景:国産製袋機の開発により、大量生産が可能に。多様なサイズやデザインの紙袋が製造されていました。
製袋形態:封筒型袋、角底袋、底貼り袋、窓付き袋などがありました。
社会背景:経済成長とともに消費拡大が進む一方で、戦時中は資源統制により包装資材が制限。紙袋も統一規格化や再利用が推奨され、一部では代替素材(布・麻など)も用いられていました。